環境方針・事業継続方針・食育推進方針


環境方針

イエスは幼な子を呼び寄せ、彼らの真ん中に立たせて言われた。よく聞きなさい。心を入れかえて幼な子のようにならなければ、天国に入ることはできないであろう。この幼な子のように自分を低くする者が、天国で一番偉いのである。また、誰でも、このようなひとりの幼な子を、私の名のゆえに受け入れる者は、私を受け入れるのである。

あなた方は、これらの小さい者のひとりをも軽んじないように気をつけなさい。

マタイによる福音書18章2節~10節

基本理念

玉川保育園は昭和43年開設され、昭和37年保育所認可を受けました。平成27年より立川市を所轄庁とする社会福祉法人草萠学舎のもと施設運営を行っています。

キリストの愛と奉仕の精神を踏まえた全人教育の実践の場であり、地域社会の要望に応えながら、人生の土台がつくられる乳幼児期の子どもたちに相応しい環境を整え、その中で日々質の高い保育活動を行うことを目指しています。

 

環境による保育

子どもたちの成長に大きな影響を与えるもの、それは、子どもたちを取りまく環境です。中でも最も重要なものは子どもたちを取りまく人的環境(保護者・保育者・地域の人々など)です。保育園に限って言えば、何より職員の質が問われるのです。子どもたちの保育を担当する人は、人間的な魅力ある人でなければなりません。

玉川保育園では職員採用時の新人研修からOJT、大学の夏期セミナーや法人内合同研修会など、各種の研修やきめ細かい職員指導を行なうと共に、職員会や保育委員会等での活発な意見交換を行なうことにより、全職員が保育者としての正しい愛情と高い保育技術を身につけて、子どもたちと接することができるよう、日々努力を重ねています。

玉川保育園では平成元年に園舎の全面改築を行い、園庭・園舎・教具・教材なども含めた物的環境も整い、より質の高い保育を提供できるようになりました。

 

環境方針の策定にあたって

今、私たちが住む地球は大きく変化しています。人間の営みに端を発すると言われる地球の温暖化や動植物の種の絶滅、文化や宗教対立による紛争、貧富の格差等々、特にこの100年間で地球とそこに住む生物は大きく傷つけられています。

『もっとやさしくEarth Our Home玉川保育園の環境方針策定にあたり、まず考えたことは、単なるお題目に終わることなく、玉川保育園に通う子どもたちが保育園という環境の中で日々生活することにより、自分自身を大切にすると共に他に親切な心を持った子どもになってくれるよう、また、人だけでなく周りの動植物や地球環境のことなどにも心にとめて、考え・行動してくれるような、そんなたくましい体と望ましい心を育てることに役立つ、私たちの保育園らしい環境方針とは何か、そのための仕掛けとは何かということを考えることでした。

 

保育園の物的環境

玉川保育園は「地球にやさしい保育園」を目指しています。園舎の改築を機に、また、その後の改修にもその様な発想を積極的に取り入れて、子どもたちの生活の場である保育園が、ささやかであっても地球環境を意識した、更に魅力ある空間として活用されるよう、物的環境の充実にも力を入れて来ました。

具体的には、園舎中央の中庭部分の屋根はガラス屋根で、昼間は照明器具の点灯の必要はありません。屋根の最上部にはスプリンクラーが設置され、バルブをひねると小雨状の水が屋根を覆い、水が蒸発する際に屋根の熱を奪い取るという「打ち水」機能を持たせています。

2棟に分かれる園舎のメインの屋根は、赤外線を反射する遮熱塗料が施され、データ上ではありますが、屋根の表面温度は10度C以上低くなると言われています。太陽の位置や見る角度により異なりますが、スプリンクラーの水は「虹のバリアー」が園舎の屋根全体を覆っているようにも見え、保育者からの働きかけ次第では、自然の事象(天気・気象)に関心を持たせるという保育面での効果も期待できます。

園庭では、固定遊具を覆うように多様な樹木が配置され、夏の季節には多くの木陰が出現し、屋外遊びの子どもたちを紫外線から守っています。また、雨水浸透マスも効果的に配置され、駐車場の浸透アスファルトと共に、雨水を地下水脈に戻すような設計になっていて、自然環境の保全や回復、下水道への雨水の流入の軽減を図るよう配慮しています。

それと、園庭の固定遊具は、EUの安全基準をクリアーし、廃棄時にも余分な廃棄物を出さないよう、コンクリートの基礎工事を必要としない工法で設置されています。

プールサイドには、ソーラーパネル付き風力発電の照明灯があり、たった1灯ではありますがLEDの電気が点灯する仕組みになっています。風や太陽やエネルギーなどについて、子どもたちが気づいてくれるよう、単なる照明器具ではなく教材としての役割も持たせています。

夏のプール遊びは子どもたちが大好きな遊びのひとつですが、使用済みのプールの水はそのまま下水に流すことなく、ポンプを効果的に使いながら、職員総出で植木や園庭に散水します。樹木や花壇への水やりのための水道水の節約、打ち水による園内の温度調節、温室効果ガスの削減などをねらいとしていますが、時には、子どもたちにも労作教育の一環としてバケツを持たせて水撒きを行わせます。実際に打ち水を行うと、撒いたそばからそれまで動かなかった周囲の空気が動き出し、風を感じることができます。このような経験を子どもたちに体験させることも大切な保育活動のひとつだと考えています。

なお、玉川保育園では体温調節が未発達な0歳児に対する個別対応は別として、窓の開け閉めや扇風機、打ち水などを効果的に使い、エアコンに過度に頼ることなく、からだが自然と四季に順応するような、強いからだづくりを理想としています。

椅子や机、三輪車や積み木に至るまで、初期の購入費は高くても良いものを揃えて大切に扱い、壊れたときにも修理を施して長く使用することを基本としています。

保育園での給食は、子どもたちの楽しみのひとつですが、毎日出る生ゴミはバカになりません。玉川保育園では「極力ゴミは出さない」という考えから、調理室から出る生ゴミもコンポストを使用して、土壌改良剤などに変えています。

 

子どもたちに地球環境を意識させる

全体的な計画に基づき多彩な保育活動を展開しますが、特に以下の5点については「環境教育」の視点を意識して活動展開し、子どもたちに多くの有意義な体験をさせ、地球環境について関心を持たせたいと思います。

  1. 礼拝や聖話を通して、他に親切で素直に感謝できる心を育てる。
  2. 豊かな四季の移り変わりを肌で感じ、動植物の飼育栽培などを行うことにより、自然の不思議さや生命の大切さを理解させる。
  3. 子どもの持つ興味や関心を大切にし、自主的・自発的に遊びや仕事を行うよう促し、思考力の芽生えを培う。
  4. 保育園での集団生活を通して、自主・協調などの社会的態度と、道徳性の芽生えを育む。
  5. 行事を大切にし行事に参加することにより、家庭や地域社会、外国や地球との関わりを有意義に体験させる。

 

活動展開に当たってのキーワードとなるもの…

命や全てのものに感謝する心・もったいないと感じる心・昔の人の知恵に学ぶ・自然の不思議さに興味を持つ・自然の再生能力を知る・自然の循環を考える・生物の多様性と種の絶滅を知る・人種や異文化に対する理解を深める・持続可能な社会を考える・日本人として地球人として生きる

 

保育者の行動指針

  1. 環境に関する法規やその他の要求事項を遵守します。
  2. 保育活動を展開する上で、環境への負荷を低減する活動を推進します。
  3. 環境目的・目標の設定及び定期的な見直しを行い、内部環境監査などにより、環境マネジメントシステムの継続的改善を推進します。
  4. 保育者の環境に対する意識の向上を図り、下記の事項については優先的に活動し、環境維持と汚染の予防に積極的に取り組みます。
  • 子どもたちに対する「環境教育」の実施
  • 保護者に対する「環境教育活動」の啓蒙
  • ゴミの分別の徹底
  • 省資源・省エネルギーの推進
  • 具体的アクション
   ACT1 冷房は28度に設定しよう
   ACT2 蛇口はこまめにしめよう
   ACT3 アイドリングをなくそう
   ACT4 エコ製品を選んで買おう
   ACT5 過剰包装を断ろう
   ACT6 コンセントからこまめに抜こう
 

 なお、この環境方針は文書化して全職員に周知させると共に、広く一般にも開示します。

   2022年1月25日
                               社会福祉法人草萠学舎 玉川保育園

                                園 長  坂村  英之

 2009年6月1日 一部改正
 2012年3月1日 一部改正
 2013年12月1日 一部改正
 2017年3月10日 一部改正
 2019年3月14日 一部改正

 2022年1月25日 一部改正

 

事業継続方針

 

BCMS導入の目的

BCMSの導入は、自然災害や事故・感染症などによって事業リソースが被害を受けても、重要業務をできるだけ中断せず、園児と職員の安全確保を最優先しつつ保育園業務を安定的に提供するため、社会機能の維持にも関わる事業者としての玉川保育園が行うべき対応等の迅速かつ的確な行動に資することを目的としています。

なお、BCMSに基づく措置は、非常時のその時々の状況に応じて柔軟に対応することといたします。

 

BCMSの計画について

  1. 玉川保育園は、関連する法令その他の要求事項を遵守します。
  2. マネジメントサイクルとしての定着を図っていきます。また、訓練・レビューなどを実施してBCMSを継続的に改善します。
  3. 非常時における保育園事業継続のために、被害を予防・防止するという観点から、計画的に事前対策を実施します。また、保育園の重要業務が中断した場合には、可能な限り早期に保育園業務を再開させるための復旧対策を実施します。

 

BCMSの運用について

  1. 職員に対しては、被害想定シナリオや策定ノウハウを配布すると共に、職員会議や各委員会・研修会にて周知いたします。
  2. 保護者の皆様には、入園説明会・保育懇談会・配布物「光の子」やホームページにて周知を図ります。
  3. その他の関係者には、玉川保育園ホームページに概要を掲載し情報の共有を図っていきます。
  4. 事業継続方針の見直しがあった場合には、職員会議・各種委員会・ホームページにてお知らせいたします

  2015年4月1日
                               社会福祉法人草萠学舎 玉川保育園
                                園 長  坂 村 英 之
 2017年3月10日 一部改正

 

環境マネジメントシステム(EMS)の導入


認証登録番号:EMS556927 規格名称:ISO14001:2015 


認証登録番号:BCMS652153 規格名称:BCMS22301:2019

玉川保育園では、事業継続マネジメントシステム(BCMS)の要素を含めた環境マネジメントシステム(EMS)を導入し、事業運営を行っています。

 

EMSの目的

当法人におけるEMSの目的は次のとおりです。

1. 当法人の多彩な活動の中に環境の視点を効果的に取り入れ、次世代を担う子どもたちの環境意識を高める。
2. 保育・園運営を行う上での環境負荷を削減し、事業所としての社会的責任を果たす。
3. 事業の中断・阻害を引き起こすインシデントを管理するための管理方法や基準を確立し、園児及び関係者を守る    ため、災害時の対応能力、復旧能力(レジリエンス)を強化する。
4. 目標の達成管理に基づき、環境との親和性、事業継続の能力を継続的に改善する。

 

EMSの適用範囲

次の組織及び敷地をEMSの適用範囲とします。
• 社会福祉法人草萠学舎玉川保育園の組織

次の事業活動をEMSの適用範囲とします。
• 園児への保育(散歩などの園外保育を含む)
• 一時預かり保育

 

食育推進方針

 

はじめに

 乳幼児期は「食を営む力」の基礎を培い、「生きる力」を身につけて行くための重要な時期です。周囲の人と関わり合いながら、食を通じて経験した様々なことが、体だけでなく心の健やかな成長・発達に大きな影響を与えていきます。

 味覚や食嗜好の基礎も培われ、それらはその後の食習慣にも影響を与えるため、この時期の食生活や栄養については、生涯を通じた健康、特に生活習慣病の予防という長期的な視点からも考えていく必要があると思います。

 玉川保育園では、保育士・栄養士・調理師が連携して食育を推進して、子ども達が意欲を持って食に関わり・食べることを楽しみ・食事を楽しみ合う子ども達に成長して欲しいと願っています。

 

食を取り巻く現状

 近頃では食の欧米化に加えて、女性の社会進出や出産後も仕事を続けることが多く、その結果、家事に割ける時間が減り、ファストフード・冷凍食品・レトルト食品や「中食」と言われる持ち帰りの惣菜店等の増加により、家庭での調理が減っているのが現状です。いつでも・どこでも・好きな物を比較的容易に「食べる」ことができる時代になって来たとも言えます。

 園児の保護者も、食事の準備に時間や手間を掛けられない、また、掛けたくない人も多く、保護者の「食」に対する意識も変化してきております。その上、家族の生活時間帯の夜型化や、食事に対する価値観の多様化などにより、皆で食事を共にする機会も減少しており、子どもへの「おやつ」の与え方への配慮不足・偏食・生活習慣病の若年化など、多くの問題点が指摘される様になってきています。

 

保育活動の一環としての給食

 保育園での食事は、先生や友達と一緒に食卓を囲むことにより、子ども達の心身の成長発達の変化を日々観察することが可能です。「給食委員会」を中心に、子ども達の成長や発達に対応し、子ども達の変化にも柔軟に対応した献立を作成し、食事をしながら食材や食文化のことを話し合ったり、食事のマナーや偏食の矯正なども、毎日の食卓で自然に行うことが可能だと思います。

 食を通してのコミュニケーションは、食の楽しさを実感させ、心の豊かさをもたらすことにもつながり、皆で楽しく食卓を囲むように心掛けることにより「食を営む力」や「生きる力」の基礎を培うことができると考えており、大切な保育活動の一環と捉えています。

 

玉川保育園の食育

  厚労省の「保育所食育指針」でも、食育を保育の一環と位置づけ、以下の6つの子ども像を掲げています。

  1. お腹がすくリズムのもてる子ども
  2. 食べたいもの、好きなものが増える子ども
  3. 一緒に食べたい人がいる子ども
  4. 食事作り、準備に関わる子ども
  5. 食べものを話題にする子ども
  6. 食事のマナーが身に付いた子ども

 これらは、「保育指針」に掲げられている保育目標を食育の観点から表したもので、全て食事に関わる育ちの姿です。従って、この6つの子ども像が育ちとして実現されることを視野に入れ、食事を提供することが大切となっています。

 また、「保育所食育指針」は、食育の目標を達成するための食育の内容として、食と子どもの発達の観点から、以下の5項目を掲げています。

  1. 食と健康
  2. 食と人間関係
  3. 食と文化
  4. いのちの育ちと食
  5. 料理と食

 この5項目は、全て「食を通じて」と記されており、食事に関わる体験を通して援助される事項です。従って、食育の軸となる食事は、心身の健康に関する側面や、人間関係の拡大・深化など社会性の育ちに関する側面、食習慣の基礎づくりや食環境との関わりも含めた食文化的な側面など、多様な側面の発達に寄与するものとして提供することも大切となってきます。

 そして、この「保育所食育指針」と、当園の「光の子育成のための全体的計画」の給食・栄養指導の項目は密接に関連しており、全体的計画では、食育指針の内容を踏まえた上で、子どもの発達段階に対応させた組み立てになっております。

 

玉川保育園の給食

 玉川保育園の給食は、以下の厚労省の「第3次食育推進基本計画」にも合致しています。 

 

①食の循環や環境を意識した食育の推進について

食に対する感謝の念や理解を深めて行くため、生産から消費までの一連の食の循環を、体験を通じて意識できるよう工夫すると共に、食事の提供に当たっては「もったいない」という精神で、食べ物を無駄にせず、食品ロスの削減等に取り組むなど、環境にも配慮した取り組みの推進をお願いする。

②食文化の継承に向けた食育の推進について

我が国の豊かで多様な食文化が保護・継承されるよう、保育所や地域の行事に合わせた行事食を提供するなどを通じて、郷土料理・伝統食材・食事の作法等、伝統的な食文化に関する関心と理解が深まるような体験や、保護者への情報提供も含めた取り組みの推進をお願いする。

 

①食の循環や環境を意識した食育推進への玉川保育園での対応・・・

 子ども達が食に対する感謝の念や理解を深められるように、日々の保育活動の内容にも様々な工夫を凝らしています。また、地元の農家と契約して、出来るだけ多くの立川産の安心で新鮮な旬の野菜を用いることを心掛け、フードマイレージや環境への負荷を低減させる努力をすると共に、食材クズを出さない工夫をしてゴミの減量にも 務めています。

 例えば、サンドイッチは今まで耳付きで提供していましたが、耳だけ残してしまう子どもが多く、残食が増えていましたが、現在はパンの耳を切り落とし、切り落とした耳はフードプロセッサーで粉砕し、生パン粉としてフライに使用したり、パン耳ラスクとしておやつに提供しています。それにより、サンドイッチの残食を減らし、耳 も捨てずに活用することが出来るようになっています。

 また、日常の献立も平成30年4月より、元・有名ホテル料理長のプロのアドバイスを受けて調理を行うことになり、同じ食材でもその食材の持ち味が活かされ、子ども達も職員も皆「美味しい」と自然と食が進み、残食の低減につながりました。

 ゴミの減量に努める一方て、美味しい食材の味を活かて、美味しく調理することの大切さも実感することとなりました。

 玉川保育園では、安全で安心な給食の提供の徹底を図っており、東北大震災後からは、食材の残留放射能についても「線量計」を使用し検品するようにしています。現在、ほとんどの食品の放射線量は基準内に留まっていますが、未だに、食材によっては基準値を超えるものもあります。毎週、厚労省のホームページの食品中の放射性物 質の検査結果をチェックし、安全な産地を指定して発注するようにしています。

 

②食文化の継承に向けた食育の推進への玉川保育園での対応・・・

 和食は、子ども達には敬遠されがちで、一汁三菜といった料理を毎日作るのも大変で、家庭でも和食を食べる機会が少なくなり、和食の良さに触れる機会も減ってきています。

 玉川保育園の給食は、和・洋・中のメニューをバランス良く織り交ぜることを念頭に作成していますが、やはり和食のメニューは限られており、誕生会や行事食も見栄えがしない・使う食材や調理法もワンパターンとなってしまう等の理由で、洋食メニューが多くなりがちでした。

 しかし、前述の料理長の指導により日常のメニューにも、また、誕生会や敬老会といった行事食にも、プロのアイディアが次から次へと出て、和食を多く取り入れることが出来るようになりました。 

 例えば、既存の和食メニューでも、笹の葉や紅葉の葉といった四季の葉を添えるだけで、視覚的にいつものメニューとは格段に異なり、四季を感じられるメニューに変身します。また、天ぷらの下に懐紙を敷くだけでも、子ども達は「これなあに」「食べられるの」と興味を持ち、「これは油を取るために敷いているんだよ、天ぷらが美味しくなるんだよ」と教えると、ちょっとしたことでも食が進むようになり、和食の良さに触れる機会も増え、子ども達からのリクエストメニューにも、定番のグラタン・ハンバーグ・オムライスなどの洋食メニューに加え、和食の天ぷらも入ってくる結果となりました。

 誕生会の食事会に出席した保護者からも「保育園の給食とは思えないほど、グレードが高いですね、子ども達は幸せです」との感謝の言葉を多く頂き、それが口コミで広がり、家庭でも和食を食べる機会が増えることにつながってきたようです。

 

日本の食文化

  2013年にユネスコの世界無形文化遺産に和食が認定されました。登録申請した際の4点の和食の特徴を以下に挙げてみますと・・・

①多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重

日本の国土は南北に長く、海・山・里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根付いた多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。

②健康的な食生活を支える栄養バランス

一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは、理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を使うことにより、動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本の長寿や肥満防止に役立っています。

③自然の美しさや季節の移ろいを表現

食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴の一つです。季節の花や葉などで料理を飾り付けたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。

④正月などの年中行事と密接な関わり

日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分かち合い、食の時間を共有することで、家族や地域の絆も深めてきました。

 

日本料理

 「日本料理」には、料理屋で提供される高級料理のイメージがある一方、「和食」は家庭料理も含む日本食文化全体を表す言葉として、より相応しいとする意見もあるようです。和食は米と魚の文化であり、その原型に神へのおもてなしがあり、和食には自然の中の神が、年中行事の中で食と結ばれたという特徴を持つそうです。厳密に料理人が考案した伝統的な料理を日本料理とすると、すき焼き・天ぷら・寿司などは、庶民の間に生まれたため含まれず、カレーやラーメンも日本独自に発展しており、広く見れば和食と言えます。

 和食の基本形は、飯・汁・菜・香の物であり、米・大根・ナスの様な伝来した食材が使われ、魚介・海藻の豊富さ、蒸し・茹で・煮るといった調理法、昆布・鰹節・煮干しといったダシの文化、味噌・醤油・酒・味醂・酢といった調味料、平安時代から現在まで継承された年間行事との関わりなどが挙げられています。

 京料理の要はダシのうま味であり、魚を焼く技術を高度化し、食器も日本風に調製し、天ぷらのような伝来した技術も取り入れ、これらはご飯を中心に和食として形作られて、取り肴・造り・お椀・焼き物・揚げ物・焚合わせ・香の物といった献立を成立させ、これらの中から組み合わせて、その日の献立を作ります。

 

おわりに

 豊かな四季の移り変わりがもたらす自然の恵みに感謝し、食にまつわる様々な文化を大切にして、子ども達の「食」に関する興味・関心を育んで行きたいと思います。

 また、栄養バランスの取れた豊かで・楽しい食生活の場を通して、子ども達の心身の健やかな成長を促して参ります。

 そして、安全・安心な食事を提供するために、HACCPの考え方を取り入れた、食品安全に関する衛生管理・環境整備に努め、食育および食品安全に関連する法令その他の要求事項を遵守して、食育に対する知識と理解・食品安全の意識向上と周知徹底に努めて参りたいと思います。

 

                                       2020年8月1日

 

                              社会福祉法人 草萠学舎 玉川保育園

                               園 長  坂 村 英 之