あなたがたは、世界の光です。—マタイによる福音書5章14節—
先日の誕生会では、先生3人による「フィンガーアクション」が披露されました。全身黒ずくめの姿に、はじめは少し怖がる子もいましたが、音楽に合わせて流れるように動く手指に、やがて目を輝かせ、歌いながら大いに楽しんでいました。
手指の動きもさることながら、この舞台には「演者がいない」という前提があります。演じる側と見る側の間にある、暗黙の了解のもとで成り立つ世界。それは、歌舞伎や人形浄瑠璃における黒衣の役割、人形劇における操者にも通じるものです。姿や顔を見せることはなくとも、舞台の成立に欠かせない存在—そんな静かな力に気づかされました。
冒頭の聖句は、「地の塩、世の光」として知られる、イエスの教えの一節です。光は暗闇を照らし、人々の不安を和らげ、ときに相手の魅力を引き立てます。しかし、光そのものを意識することはあまりありません。ただそこに在ることで、周囲に力を与える、そのような存在が今の世にこそ求められているのではないでしょうか。
早くも梅雨が明け、強い日差しが照りつけています。恒例の梅干し作りには絶好の季節。光と塩の恵みを実感する夏がやってきました。(園長)