感謝の心を持つ人になりなさい。 —コロサイ人への手紙 3章15節—

ゲームから映画化され、話題となっている『8番出口』。通路の様子や張り紙の文言など「いつもと少し違う」世界が不穏さ、恐怖へと変わっていきます。観る者の心をざわつかせるのは、私達が忘れていた「異変に気づく力」を取り戻す瞬間がそこにあるからでしょう。
保育園の日常も一見同じことの繰り返しに見えます。けれども子どもたちは、その中の小さな「ちがい」を見逃しません。「きょうの先生のお洋服、ちょっとちがうね」「お花、しおれてる」「なんか雨のにおいがする」…。子どもはまさに、ちがいに気づく天才だと思います。
我々大人は日々の忙しさにかまけ、慣れから「いつも通り」と思い込み、あるいは自分の安心のためにあえて「見ない」ふりをしてしまいがちです。しかし子どもたちは映画の主人公のように、違和感—言い換えれば「新たな発見」—を手がかりに、この世界を探検しています。その感覚こそ、生きる力の根っこだと感じます。
保育とは、子どもを見守るだけでなく、彼らと一緒に「異変に気づく力」を持ち続けることかもしれません。「ちがい」と感じ、それをおそれず確かめる勇気。大人である我々が子どもから学ぶべき、もうひとつの出口への道標なのだと思います。(園長)




